レイ・ブライアントのブルースは柔らかく華麗だ。
朴訥なブルース・フィーリングで勝負するウィントン・ケリーとは或る意味で対極的だ。
と言ってもジャズファンでなければ分からないだろう。
そこで比較のためにウィントン・ケリーの最も有名なブルースを先ず聴いてもらいたい。






それに対しレイ・ブライアントはこんなである。




ウィントン・ケリーは舗装していない田舎の砂利道。レイ・ブライアントは都会のエスカレーターだ。
ウィントン・ケリーはブルーノートを強調し、レイ・ブライアントはブルーノート・スケールの代わりにクラシック的な、或いはゴスペルも感じさせる様なフレーズで、しかもそれにダイアトニック・アプローチで和音を細かく分割し、ブルースをビバップに変えてしまう。
ウィントン・ケリーはフレーズの間(ま)を楽しみ、レイ・ブライアントは空間を音で隙間なく埋め尽くそうとする。

しかしこのどちらもハード・バップなのだから面白い。