今日初めて知ったのだが、手塚治虫の漫画「ばるぼら」が映画化され、しかもイタリアの映画祭「ファンタ・フェスティバル」で最優秀作品賞を取り、いま公開中なのだそうだ。
手塚治虫の中でも最も衝撃を受けた「火の鳥(復活編)」を除けば「ばるぼら」「奇子」「人間昆虫記」がマイベスト3である。
「ばるぼら」は現代に出現した芸術神ミューズだ。
初めは乞食のようなボロボロの姿で発見されるが男に愛される事によりみるみる美しくなっていき、自分を愛してくれた人に世間的な成功をもたらす。
しかし愛が裏切られた瞬間に再び乞食の姿に戻り男の元を去って行く。ばるぼらを失った男は初めて自分が彼女をどれだけ愛していたか気づき必死に彼女を探す。そしてばるぼらの母、ムネーモシュネーの導きで魔術結社の儀式に顔を出す。そのムネーモシュネーは漫画ではこんな感じだ。
僕はこれを見た瞬間、縄文時代の土偶だと思った。笑
これ以上はネタバレになるのでやめておこう。
手塚治虫の漫画は「鉄腕アトム」の様な子供向けの勧善懲悪物と大人向けのドストエフスキーのような深みのある物に分けられる。「ばるぼら」はもちろん後者だ。そこでは善と悪が入れ替わり、宗教的世界と唯物論が戦い、その果てにニヒリズムの香りが漂う。
手塚治虫の世界を映画にできるのか、という疑問も湧くが、機会があれば見てみたいものだ。
追記
縄文の土偶よりムネーモシュネーにソックリなものを発見した。ヴィレンドルフのヴィーナスである。もうこれはそのものだ。(笑)
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