単細胞生物の情報伝達と神経細胞の情報伝達に系統的な繋がりがあるかどうか?
また情報伝達とイオンポンプ(情報変換とエネルギー変換)の関係は?
この辺りが今のテーマだが、それにピッタリの資料が見つかった。https
この中の「細胞社会のコミュニケーション」12回のシリーズである。これをもとに考えてみたい。
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多細胞生物の細胞間は連絡用の穴が開いて分子が通り抜ける仕組みがある。動物細胞ではギャップ結合や細胞膜ナノチューブ、植物細胞では原形質連絡(プラスモデスマータ)など様々な形が有るが、共通しているのは全ての分子が通り抜けられるわけではなく、分子の選択と通過の制御が行われている事である。
(1)ギャップ結合
ギャップ結合は膜貫通型タンパク質によるトンネル構造が作られる点でイオンポンプ、イオンチャネルとほとんど同じデザインである。脊椎動物ではコネクシンと言う4回膜貫通型タンパク質が6量体、結合して12量体のコネクソンとなり、下図のようにズレる事で中央に通過できる穴が開く。(図はWikipediaより)
コネクシン
12量体のコネクソン 左が閉状態、右が開状態
無脊椎動物のギャップ結合は全く別種の4回膜貫通型タンパク質イネキシンが8量体(結合して16量体)となり、やはりズレによって中央に通路ができる。http
このタンパク質の構造変化によって中央にイオンの通路が開く仕組みはクラミドモナスのチャネルロドプシン、古細菌のバクテリオロドプシンでも確認した。
この様に、使われるアミノ酸は全く別系統だが形態形成のアイデアが同じである仕組みを唯物論的生物学では「収斂進化」としか見なす事ができない。これは「他人の空似」という事である。しかし僕の霊的生物学ではこれを偶然とは考えない。これまでも「形のアイデア」の繋がりや無脊椎動物の「回想的反復」と呼んできた様に、分子生物学的には無関係でも霊的に系統発生が繋がっていると見なす。
隣の細胞にイオンやアミノ酸が移動できるならこれは最も手っ取り早い情報伝達であり、極端に言えば単細胞の場合と原理的に変わっていない事になる。無機イオンが通過すればそのまま電気信号の伝達となり、これは電気シナプスと呼ばれる。
単細胞ならただのイオンポンプ、イオンチャネルが多細胞になると排出したつもりが隣の細胞に入っていたという訳だ。これはイオンポンプを情報伝達に使う最も原始的な方法である。このイオンポンプ、イオンチャネルと電気シナプスの相似が単なる僕の思いつきではない事がこの資料を読めば分かる。http
カイコやショウジョウバエで結合しないイネキシンがイオンチャネルとして細胞内外の物質移動に関わっているのである。
カイコやショウジョウバエで結合しないイネキシンがイオンチャネルとして細胞内外の物質移動に関わっているのである。
ギャップ結合は信号伝達が速いので特に周囲の細胞との協調行動が必要となる場合に使われている。心筋細胞がその典型である。また動物の初期胚では全ての細胞がギャップ結合で繋がっているのに対し胚の成熟に従って同類の細胞のみに残るのが興味深い。つまり僕の言葉で言えばギャップ結合は細胞のモナド的性格の物質的表現である。
しかし、そうすると動物の胚は前に説明したように「窓の無いモナド」だが、細胞は「窓の有るモナド」言い換えればアーサー・ケストラーの「ホロン」であるという事になる。これはまた追求すると大変な問題になりそうだが、今はスルーしよう。笑
(2)原形質連絡
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