カテゴリ: 🔵 ゲーテ、ヘッケルと霊的生物学

文系の人にとっては眠くなる話、また理系の人にとっては当たり前の初歩的な話が続くがもう少し我慢してもらいたい。前回は微生物型ロドプシンやシアノバクテリオクロムなどの色素タンパク質が光反応で構造変化し、それが一方では細胞膜上の通路の開閉となってプロトンの濃度 ...

前に書いたように(http)光受容タンパク質はイオンポンプが原型で情報伝達型はそこから進化したと考えられる。センサー型でもプロトンの脱着が起こるしプロトンポンプ型でもタンパク質の構造変化が起こる。この辺をもう少し詳しく検証しよう。バクテリオロドプシンは典型的 ...

 あまり読書が進んでいないのだが、もう2週間も経つので分かった事から少しずつ書こうか。これまで微生物の光受容タンパク質の役割として光情報変換と光エネルギー変換があり、後者の方が原初的だったと想定される事を知った。(https   4.センサリーロドプシンの分子進化 ...

この間、微生物の光受容の話が続いたが、これはあくまでもシュタイナーの「オカルト生理学」のアイデアを現代の生理学の知識の上に生かすヒントを得るためであり、あまり深入りするつもりはない。光受容タンパク質は今回で終わりにし次回は光合成、ATP生産、視覚情報伝達など ...

クラミドモナスやミドリムシは真核生物だが、現代ではもっと原始的な原核生物の古細菌や真正細菌にも光受容の仕組みがある事が分かってきた。高度好塩菌(下写真)は古細菌の一種で砂漠地帯の塩田や塩湖に生息する。まだ地球上に原核生物しか無い太古の時代には海の塩分濃度 ...

前回の間違いと訂正から始めたい。クラミドモナスの持つ色素タンパク質、チャネルロドプシンは、多細胞生物の視覚を担う動物型ロドプシンとは反対に、基底状態でトランス型、光を受容するとシス型に変わる事が分かった。これは大変大きな間違いなので記事全体を書き直す事に ...

シュタイナーが次に注目するのは血液と臓器である。彼は単純化するために血液が脳へ向かう小循環と腹部の肝臓、脾臓、胆嚢へ向かう大循環に分け、その二つが心臓で合流する8の字構造に注目する。ここでシュタイナーが強調しているのは小循環と大循環の対称性である。両方と ...

今回再検討する「オカルト生理学」(1911年)https は「固体化=苦悩論」(1907年)と「精神科学と医学」(1920年)の中間の時期に当たる。この二つの間でシュタイナーは医学や化学の知識を神智学と結合させ、かなりの変化をしている事を確認してきた。前にオカルト生理学を ...

マラルメの考察は一旦休憩に入り(笑)霊的生物学のカテゴリーに移る。次のマラルメ考察は精神の危機の時期に書かれた詩劇「エルディアード」とサルトルの「マラルメ論」の検証をしたい。さて霊的生物学はシュタイナーの「オカルト生理学」の再考をしたいのだが、ちょっと頭 ...

ピリア氏のジブリ神話学に触発され「風の谷のナウシカ」について書きたくなった。しかしナウシカの解釈についてはピリア氏にまかせて、僕はナウシカの映像の潜在的な拡がりを探りながらイメージの宇宙の中で遊んでみたい。腐海こそナウシカの物語を神話的レベルまで深くして ...

軟体動物における腸管のU字屈曲についてはコケムシの記事で生物学者の推測を書いた。それは上図の様に一度移動性の生活相Aで口と肛門が分かれた後、海底に半分埋もれる固着性の生活に戻ったため(C,D)と説明される。これは僕の「腔腸動物への回帰」という直感とほぼ同義であ ...

これまで動物(特に無脊椎動物)のボディープランについて書いてきた事を整理しよう。無脊椎動物の特に原始的な種では植物と共通する形態が見られる。この前はヒドラの放射状の触手を原型とし、そこから体節化と腸管の屈曲を二つの大きな傾向と見たが、この放射状触手と体節 ...

この前、神秘主義者は収斂進化の中にこそ深い摂理を求めるべきだと書いたが、僕はクラゲのストロビラと節足動物の体節は「ボディプランの深層構造」という意味では同じだと考える。そして今、大まかにこんなイメージを持っているのである。これは抽象化されたボディープラン ...

生物学もかなりブランクが開いたのでこれまでのテーマの流れを復習する事から始めたい。僕はゲーテの「原型とメタモルフォーゼ」というテーマを生物学だけでなく化学反応、鉱物結晶の幾何学、比較神話学、深層心理学、政治経済思想史まで拡大できると信じている。生物学では ...

実はこの間、ヒドラやイソギンチャクの触手、軟体動物のU字に屈曲した消化管、節足動物の体節構造などを研究する間、「これはタントラ的だ」 という観念がずっと頭から離れなかったのである。生物学者は消化管の屈曲は固着生活に対応するためだと言う。それは正しいかもしれ ...

アジャンター石窟寺院は中国の敦煌や雲岡と同様、切り立った崖に穴を掘ったものである。それに対しエローラ石窟寺院の第16窟、カイラーサナータ寺院は玄武岩の山を露天掘りの要領で下へ下へと削り取り寺院を掘り出してしまったという驚異の建造物だ。写真はこちらからお借り ...

スズコケムシはコケムシと似ているが、コケムシが真体腔であるのに対しスズコケムシは偽体腔、コケムシが腎臓を持つのに対しスズコケムシは原腎管である事などから、現代ではコケムシより原始的な生物と見られている。コケムシは個虫が外殻の連結によって群体を作るが、スズ ...

もう少し無脊椎動物のボディープランの深層構造を見ながら、ヘッケルの反復説の意味を探っていきたい。僕の思考はもちろん分子系統学やDNA、転写因子の研究から得られる知見を大いに参考にするが、そこから飛躍する事もある。唯物論者は収斂進化を単なる「他人の空似」と見な ...

クリオネは腹足類(巻貝の仲間)だが、捕食の時にはバッカルコーンと呼ばれる触手を出す。これを見て何かを連想しないだろうか? そうだ、イカだ! そして上の触手と口だけ見れば、これはまさにヒドラそのものだ。これが発生的にトロコフォアの環状の口髭に由来するのかどう ...

やはり無脊椎動物に関しては進化系統も発生の具体的な過程も分かっていない事が多いため、これ以上反復説を検討するのは難しい。そこで少し発想を変えよう。「形のデザイン」という観点から大まかに種間の比較をし、その意味を考えるという観点である。もちろん神経系、感覚 ...

カニ類のゾエアは額棘、側棘、背棘を持つ。下の写真で上を向いているのが背棘、クチバシの様に下へ伸びている透明な物が額棘である。写真はこちらからお借りしました。http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-2-014.html上の側面写真では分かりにくいが、正面から見る ...

前回は軟体動物の特徴がトロコフォアとベリジャーに現れ、それが螺旋卵割と関係あるという表面的な記述にとどまった。少しずつ想像を逞しくしていきたい。軟体動物の「捻れ」に対し節足動物は「体節」に象徴される。節足動物の中でも昆虫類は最近の分子系統学では甲殻類から ...

三胚葉動物は前口動物と後口動物に分かれ、概ね無脊椎動物と脊椎動物に重なる。前口動物の代表はタコ、イカ、貝類などの軟体動物とカニ、エビ、昆虫などの節足動物である。これらの発生や幼生を観察してみよう。貝類はトロコフォア幼生、ベリジャー幼生を経て成体となる。  ...

少し二胚葉動物と三胚葉動物の分離の辺りをユックリ眺めてみよう。刺胞動物は少し前までは有櫛動物と一緒にして「腔腸動物」と呼ばれていた。僕は腔腸動物の方が適切な名前だと思うのだが残念だ。刺胞動物には固着生活をするポリプ(ヒドラ型)と浮遊生活のクラゲがあり、多 ...

 生物学も大きなブランクが開いてしまった。細切れの記事になるが、少しずつでも進んで行こう。ヘッケルの反復説が進化の系統樹と分化の分岐図の同形性を必ずしも意味しない事に気づき、進化における大きな分岐点で反復説を具体的に検討しようとしている所である。http://ba ...

前回は「神経回路とヘッケルの反復説の相似象」を確認した。復習すると、学習と条件反射は「新たな神経回路の形成・強化」という点で同じであり、それはワディントン地形で表されたヘッケルの反復と相似象をなしている。そしてこの相似象をまるごとモデル化したのがシェルド ...

<学習と条件反射>英会話の学習とジャズのアドリブの練習は非常に似ている。初めは相手の単語を英和辞典で引かないと意味が解らない。その後自分の答えを和英辞典で翻訳して文法的に合う様に話す。単語を覚えても当分は「comprehendとは?・・・ああ、理解するか」と考えて ...

生物学で大変面白い資料を見た。https粘菌の不思議さについては一度記事を書いたが、この研究では粘菌の変形体の形が環境の良し悪しで変化する事を確認し、その変化を数量化しようとしている。粘菌は栄養分の豊富な環境では丸くシート状になり、環境が悪化すると a→b→c と ...

これまでルパート・シェルドレイクの「形態形成場の仮説」として書いてきた、個体発生を「枝分かれする溝を転がる球」として説明するアイデアだが、実はこのアイデア自体はシェルドレイクより古く、イギリスの生物学者、コンラート・ハル・ワディントン(1905~1975)によっ ...

アダムスは物質空間とエーテル空間を包含する全体を「原空間」と呼ぶ。原空間においては、点と平面との対極性がゲーテ的な「拡張と収縮」として作用している。それは射影幾何学において影を映す曲面を動かす事に相当する。植物の成長における「拡張と収縮」はその物質空間に ...

 ゲーテは生物のメタモルフォーゼにおけるトポロジー的同型性と不可逆性を直感し、それを成分が全てバラバラになっても再生する鉱物の可逆的変化と比較した。「いかにその形態が細長く引き伸ばされていようとも、いかに各部分が癒着してしまっていようとも、またいかに先端 ...

 生物の発生・進化の中で実際に起こる反転(原口陥入と神経管の形成)を今ジョージ・アダムスが問題にしている空間の反転(物質空間とエーテル空間の対極性)と関係づける事・・・・・それが今回のテーマである。これは2回に分けて書こうと思う。それが無謀な飛躍ではない ...

ヤフーブログからの移転の際に順序が前後してしまったが、僕の基本的認識である植物と動物の内外反転について考えてみる。 植物の性は開放的で自然にとけ込んでいる。まっすぐに太陽へ向かって上へ伸びた茎はその周りを螺旋状に葉が取り囲み、頂点ではその葉が変形して美し ...

「日本人は思想したか」(新潮文庫)の中で中沢新一氏がチベット密教に発生学的視点があり、それが日本の修験道や唯識論にも共通するのではないか?という大変興味深い指摘をしている。そこでヴァスバンドゥの「唯識二十論」「唯識三十頌」に発生論的視点が有るか読み直して ...

感覚の座は脳にあると現代人は考えがちだ。「見ている」のは眼球ではなく脳だと。眼球はカメラと同じ道具に過ぎず、そこから視神経の電気刺激が大脳に伝わり過去の記憶などと照合された上で初めて視覚という内的体験が生じるのだと。これは正しいだろうか?ではクラゲの場合 ...

 木下圭と浅島誠の共著による講談社ブルーバックスの「発生生物学」から核心的な事を抜き出し「生命の弁証法」のアイデアを探していこうと思う。人間のDNAは塩基対にして約31億ある。その中で特定のDNAだけが読み取られ発現する仕組みは以前は抽象的な「モルフォゲン仮説」 ...

これまで書いてきたアイデアをここで整理してみたい。理解の鍵となりそうな幾つかの二項対立が有る。自由化と安定化ランダム性と動的協力性(要素間の相克と相乗)等方性(均質化)と異方性(秩序)正のフィードバックと負のフィードバックこれらがどの様に繋がっているのか ...

 プリゴジーヌは対流という物理的な散逸構造における原理が化学反応にも共通する事を下のブラッセル・モデルで示した。多数のセルをリング状に繋ぎセル同士の間は拡散で物質が通り抜けられるものとする。つまりセルは開放系だが、隣同士のセルの間でしか拡散は起こらない。 ...

ノーバート・ウィーナーが1948年にサイバネティクスを始めて提唱した時、その中心テーマは負のフィードバックによる系の安定的な制御であった。それを自己組織化論の方向へ方向転換させたきっかけは1963年の丸山孫郎氏による「セカンド・サイバネティクス」の提唱だったと言 ...

前回までに、対流現象ではミクロの運動が動的協力性によってマクロの運動に変換される仕組みを確認した。これは軽い熱水が下にある力学的不安定が前提であり、この不安定を解消しようとする力、つまり浮力が原動力となる。そして分子の衝突による運動エネルギーの伝達が有り ...

清水氏は散逸構造の考察に入る前段階として化学進化について考えている。アミノ酸がひとりでに結合し蛋白質の分子ができる可能性はあるだろうか? 結論から言うと閉鎖系では無いということになる。清水氏は蛋白質が100個のアミノ酸からできているとするとボルツマンの分布則 ...

 清水氏の叙述から「自由化傾向」「安定化傾向」がどの様に法則の中に現れ、それがいわゆる「熱力学的平衡」つまり静的平衡と、散逸構造における動的平衡でどの様に継承され発展していくかを追ってみたい。(1)碁石の並べ方碁盤の上に碁石を白黒交互になる様に綺麗に並べ ...

これから数回に分けて清水博氏の「生命を捉えなおす」の核心を要約し、それと僕の生命の弁証法との繋がりを考えてみたい。 この本が素晴らしいのは現在の熱力学やプリゴジーヌの散逸構造論をもそのまま鵜呑みにしないところだ。彼は熱力学第1法則と第2法則を自分でかみ砕 ...

発生生物学で「モルフォゲン仮説」は完全に定着した様である。これは (1)初期胚細胞で特定の細胞が分子シグナルを出す 。(2)それが細胞膜を透過して胚細胞全体に拡散し濃度勾配を作る。(3)その濃度によって細胞が胚の中での自分の位置を確認する。(4)それによっ ...

ここで僕の考える「生命の弁証法」を一度整理しておきたい。これは僕にとって「太陽と月と大地のメタファー」に続く思想史的アプローチと神秘主義的アプローチを結合するアイデアの第2弾である。それは未完の断片的なものだが、今後現代の発生生物学や自己組織化論などの研 ...

ゲーテは植物の節構造が漸次的な、緩慢な生殖であると考えた。節から再び発芽し葉となる経過は確かに新たな個体発生を思わせる。しかし種子からの個体発生に較べて不完全なものだ。これもやはり動物の様に胚の反転が無いために時空の反転が不完全になっている表現と僕は考え ...

ゲーテは形態学の構想を思いついたイタリア旅行以前から顎間骨の研究に取り憑かれ、「猿には有るが人間には無い」と言われていた顎間骨が人間にも存在し上顎骨と癒合している事を発見した。その後彼は頭蓋骨は椎骨のメタモルフォーゼであり、6個の椎骨が合体したものだと主 ...

 ゲーテの植物論は最も標準的な例を下の様な一年性被子植物に見てその種子~子葉~葉~萼(がく)~花弁~雄蕊・雌蕊~果実~種子という形態変化から原理を抽出しようとしている。<体節>葉の形成でゲーテは葉と節(ふし)と芽が常にセットになっている事を強調する。葉と ...

これから何回かに分けてゲーテの形態学を検証するが、単なるゲーテの解説ではなく、それをゲーテ以上に深読みしスペンサーやヘッケルのように幾つかの「根源的な原理」に迫ろうと思う。我々はゲーテの時代よりはるかに多くの材料とヒントを持っている。誘導の発生学、モルフ ...

下のグロテスクだが美しい絵はヘッケルの著書「生物の驚異的な形」の中にあるほんの一部である。ヘッケルは人種差別的発言によって酷く評判を落としたが、「個体発生は系統発生を繰り返す」という反復説は最近見直されつつあると僕は確信している。                ...

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