これから数回に分けて清水博氏の「生命を捉えなおす」の核心を要約し、それと僕の生命の弁証法との繋がりを考えてみたい。
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この本が素晴らしいのは現在の熱力学やプリゴジーヌの散逸構造論をもそのまま鵜呑みにしないところだ。彼は熱力学第1法則と第2法則を自分でかみ砕き消化してもっと奥深くに有る原理を探ろうとする。

その結果彼が抽出した物は「安定を求める傾向」と「自由を求める傾向」である。この二つは表面上は対立し合いながら時には協力する事も有る、正に「相克から相生へ」の弁証法的関係なのである。


僕も清水氏に倣って彼の説もそのまま鵜呑みにせず、自分で納得できる解釈をしようと思う。



それともう一つ初めに断わっておかねばならない事が有る。
「生物における動的平衡」という概念は現在の熱力学では認められていない。しかし僕は福岡伸一氏の提唱に従って散逸構造に基礎を置く自己形成された動的秩序をためらわず「動的平衡」と呼ぶ事にする。


現在の熱力学で言う「動的平衡」はマクロ的には静止している事から「静的平衡」と呼ぼう。そちらの方が本質的な事柄に迫れるからだ。
ローレンツのアトラクターの様に不規則に変動するが一定の範囲に収まる状態を平衡と見做すという事である。
http://blogs.yahoo.co.jp/bashar8698/39335471.html


この書は静的平衡と動的平衡の連続性と断絶性を明らかにしようとしているのである。