「土星紀もこのように眠りの状態に入り、そして太陽紀として再受肉していきます。」


シュタイナーの宇宙生成論では星の輪廻転生においても「個体発生は系統発生を繰り返す」のである。

「人間存在は、より高度の意識度を獲得するに至る。しかしこの事が生じうる以前に、すでに述べたような仕方で、土星紀の諸状態が繰り返されねばならない。」

「太陽紀は土星紀の諸状態を繰り返すところから始まる。」




ヘッケルが提唱したこの「個体発生が系統発生を繰り返す」ことの哲学的な意味を示唆しているのがルパート・シェルドレイクの「形態形成場の仮説」である。

個体発生は坂道の溝をボールが転がるような物である。

溝はくねり、途中で何回も枝分かれしている。枝分かれの所でボールが右と左のどちらへ行くかは分からない。

しかし1回右へ転がると右側の溝がボールの重みで少し深くなる。そうすると次に後ろからやってくるボールはますます右へ転がりやすくなる。

個々のボールの転がる様子が個体発生で、樹状の溝が系統発生である。

発生はアストラル界での確率の分布の樹状構造として示される。それは時空を超えて伝達される。




太陽紀は「夢のない眠り」の意識であり、植物の意識と似ているとされる。この段階で人間存在に「エーテル体」が組み込まれる。「植物の意識」と言うが、もっと正確には「神経系のない生物の意識」である。神経系はこの後、月紀にアストラル体が組み込まれる事によって生まれるのである。



人体の器官で栄養を吸収する「消化系」、酸素を全身に巡らせる「循環系」、老廃物を捨てる「泌尿器系」、種族保存に関わる「生殖系」は「植物性器官」と呼ばれる。
植物にも機能的に対応するものがあるからだ。




「今日の成長器官、消化器官、生殖器官の萌芽が太陽期に形成されました。」


シュタイナーによれば、成長器官と生殖器官は土星紀における感覚器官の一部にエーテル体が浸透する事で変化したものである。
これは一見突飛でもない説のようだが、やはり深い意味がある。


松果体は元来は視覚器官だった事が既に明らかになっている。

また腸管にある「内臓感覚」は皮膚感覚と共に生物の最も古い感覚である。

また単細胞生物にもエンドルフィンが発見された事から「細胞は分裂する時や接合する時に快感を感じているのではないか」と推測する事もできる。



植物細胞は光合成の能力を持っているが、光を吸収する色素、クロロフィルは中心にMgを持っている。赤血球と同様に金属がその中心にあるのだ。金属は土星紀の名残りである。


「植物は太陽の光を受け取り、自らの中に浸透させ、そして反射しています。」
「太陽紀の身体も、光や他の成分を浸透させ・・・中略・・・その光を消化した後で反射しました。」




土星紀から太陽紀へ転生する時、全てが完全に転生し切れる訳ではない。土星紀の状態を残す「進化から取り残された部分」が存在するのである。原生動物やシダ植物、環形動物が現代でも存在するように。

「太陽紀においても、すべての存在がこの進化の段階に到達するのではありません。多くの存在が土星存在の段階にとどまりました。宇宙空間の中に輝くものを受け取り、その後で反射する事ができず、すぐに反射したので、この光に浸透されることができなかったのです。」

「それゆえ、これらの存在は太陽紀の中の暗い部分、固有の光を放つことのできない部分に見えます。」

「黒点は、光り輝く太陽の中に残った土星の暗い部分の最後の痕跡です。」



太陽紀に進化できた存在にも土星紀の痕跡は残される。

「土星紀の鉱物の最後の子孫を目、耳、その他の感覚器官の中に見いださねばなりません。」



こうして進化と転生との関係は「系統発生」の平面から「個体発生」の平面へ、さらに「個体の中の空間的配置」の平面へと変換される「二重の射影幾何学」としてあらわれる。





アストラル体の流入は太陽紀から既に始まっている。植物は神経を持たないが、その原型である「ホルモン分泌」の機能は持っているからだ。

ホルモンは単細胞生物から多細胞生物が生まれた時、その細胞間の調節をする物質である。各細胞がバラバラに行動したのでは多細胞生物は壊れてしまう。

ホルモンによる調整は動物になると自律神経として系統化される。自立神経は植物神経とも呼ばれる。神経の形は稲妻の形であると同時に木の形(樹状構造)でもある。



「アストラル体は火の霊から発して、下方に存する肉体とエーテル体の中に流れ込んでいきます。この光の流れは木のような形に分散していきます。」

「太陽紀における人体は、上空から輝きが入ってくることによって木のような形に編まれていく、と表象しなければなりません。」




自律神経系で非常に大きな役割を持つのが、腹部にある太陽神経節である。

「この太陽紀における光の流入は凝縮し、その最後の痕跡として、太陽叢(太陽神経節)と呼ばれる器官に外形をとどめています。太陽に注ぐ光は太陽叢として物質へと凝縮したのです。」