死んだ後どこへ埋められようと当人の知った事ではない。
汚い溜桶の中だろうと、高い丘の上の大理石の塔の中だろうと、
当人は気づかない。

君は死んでしまった。大いなる眠りを貪っているのだ。
そんな事で煩わされるわけがない。
油でも水でも、君にとっては空気や風と同じ事だ。
君はただ大いなる眠りを貪るのだ。

             ・・・・レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」より



ベニー・ゴルソンの美意識は時にハードボイルドに接近する。
青灰色に燻んだ甘く渋いハーモニーは激しいソロと表裏一体だ。
それは今の静寂が激しい闘いの結果である事を暗示している。