カチカチとなる前奏のドラムとギターは昔の時計の秒針の音を連想させる。
時の流れる音が周りの沈黙を際立たせる。


>誰も知らない夜明けが明けた時  街の角からステキなバスが出る

二人は誰にも知られずバスに乗る。この「コミュニケーションの欠如」が曲全体を貫く主調となっている。二人の間に会話は無い。
二人とバスの乗客、二人とホテルのフロント、全てに会話が無い。



>若い二人は夢中になれるから
>昼間のうちに何度もキスをして

バスの中の二人には暗い表情は見られない。
恋に夢中なのだ。しかし・・・・・



>狭いシートに隠れて旅に出る

シートに隠れる事なんてできるのだろうか? 
彼等にはできるらしい。何故?
 


>行く先を尋ねるのに疲れ果て

二人は周りの乗客にバスの行き先を尋ねるが誰も答えない。
二人は周りからは見えていないから。



>そこで二人はネオンの字を読んだ

ネオンの字は「リバーサイドホテル」 二人には見覚えが有った。
当然である。二人が首を吊った所なのだから。



>チェックインなら寝顔を見せるだけ

これは不気味な表現だ。寝顔・・・・目をつぶった顔だ。
チェックインの時だけ目をつぶるのだろうか?  まさか。
二人はずっと目をつぶっているのだ。



>部屋のドアは金属のメタルで

「夜明けが明けた」「金属のメタル」など無意味な繰り返しがこの歌のシチュエーションの不思議さを物語る。



>洒落たテレビはプラグが抜いてあり

このホテルは今は無人の廃屋となっているらしい。
それなら顔パスのわけである。



>ベッドの中で魚になった後  川に浮かんだプールでひと泳ぎ

熱い抱擁の後プールで身体を冷ます。オシャレだね。と思いきや・・・・
ん? 「川に浮かんだプール」って何だ?
考えるとゾッとするものがある。

現実の光景に霊界の光景が重なっているかのようだ。
そう考えるとこの曲全体を貫く不思議な沈黙、「コミュニケーションの欠如」は現実世界と二人のいる世界との断絶を表しているのだと気づく。


>どうせ二人は途中でやめるから  夜の長さを何度も味わえる

このままでは意味不明である。敢えてこじつければ・・・・・
この透明な二人のデートは何度も繰り返されているのだ。(!)





透明な二人は死によって中断された最後のデートが心残りでフロイトの言う反復強迫そのままに何度も同じ「死のデート」を繰り返す。

しかし何度繰り返しても夢の続きがあるはずも無く、再び同じところで中断してしまうのだ。


どうせ二人は   途中でやめるから・・・・

どうせ二人は・・・・

途中で・・・・・・・