これはヒットこそしなかったがみゆきファンなら必ず知っている隠れた名曲で、中島みゆきの中でもベスト3に入るといわれるアルバム「臨月」に入っている。
このアルバムにはこれ以外にも「あした天気になれ」
「ひとり上手」「雪」など名曲がそろっている。
僕ははユーミンの「ミスリム」に匹敵する名アルバムだと思っている。
車で海へドライブに来た恋人の二人。
しかしけんかをして別れる事になってしまった。
ここから曲が始まる。
男は一人で黙って海を見ている。
女は彼をあとに、浜辺を国道へ向かって歩きはじめる。
互いに背を向けて相手の事を考えている「私」と「あなた」・・・
「忘れないでね 忘れたいんだ 言えない言葉 背中から背中へ」
女はまだ未練があるが男はもう完全に別れるつもりでいるようだ。
テレパシーのように背中から背中へ伝わる残酷な言葉。
夕風が彼女の心を吹き抜ける。心が寒い・・・・
「すこし気取った甘い足どり」はどのような歩き方なのか今ひとつ分からない所なのだが、彼に失意でクラクラする姿を見せたくない、軽やかな足取り、という事だろうか。
後から車の音が近づくと「もしや彼では」と期待しながら、わざと急ぎ足になり「追って来ないで」というふりをする。
しかし過ぎた車は若い恋人同士のフェアレディ。泣き面に蜂。
「持ったサンダル わざと落として」
彼女は裸足で歩いていたのだ。なんかみゆきに似合うではないか。
しかし本当にサンダルを落としたのではない。
振り返る口実を作るために落としたかった。
揺れる女心を憎いほど見事に描いている。
しかし「きっとあなたはもういないから振り返れない」
みゆきもユーミンもゆれる女心を描くのが得意だが、みゆきの心の揺れ方は似たパターンが多い。
本当は彼に去って欲しくない「行かないで」という気持ちと、
彼に「私を捨てないで」などと泣きつくのはプライドが許さない
「行ってしまえ」という気持ちとの葛藤。
「悪女」でも同じパターンが見られる。
多分みゆき自身がこういう女性だったのだろう。
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