奈緒子が大輝の出るラグビーの最終試合を見に行こうと思いたったのは、「君は結局俺という人間を何も理解してなかったじゃないか! 」という彼の最後の言葉が心の中で1ヶ月も反響し続けていたからである。
「最終試合にベストコンディションで臨むため当分君と会うのはやめたい」というのが口実である事はわかっていた。
それでも奈緒子は大輝がラグビーにかけた情熱を自分の目で見届けない限りこの別れは納得できないと思った 。
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真冬にしては暖かな、澄み切った空気の中で最終試合は終わろうとしていた。
本当はラグビーのルールなど何も知らなかったのだ。
ただタックルを振り切って走る大輝の姿を美しいと思った。
同点の様だった。最後の彼のキックはゴールポストを大きくそれた 。
それで試合は決まった。
最後の試合に負けた大輝は芝生の上で四つん這いになって泣いた。
それは彼が奈緒子の前では一度も見せた事のない涙だった。
「負けた」と奈緒子は思った。
恋を犠牲にしてラグビーを取る、という大輝の言葉に嘘は無かった。
本当はラグビーのルールなど何も知らなかったのだ。
ただタックルを振り切って走る大輝の姿を美しいと思った。
同点の様だった。最後の彼のキックはゴールポストを大きくそれた 。
それで試合は決まった。
最後の試合に負けた大輝は芝生の上で四つん這いになって泣いた。
それは彼が奈緒子の前では一度も見せた事のない涙だった。
「負けた」と奈緒子は思った。
恋を犠牲にしてラグビーを取る、という大輝の言葉に嘘は無かった。
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あれから30年・・・・
奈緒子は夫の大輝と共に息子の試合を見ている。
あの時の夫と同じ様に息子は泥だらけになって走り、応援団の女の子達は黄色い声で歓声を上げる。
奈緒子は夫の大輝と共に息子の試合を見ている。
あの時の夫と同じ様に息子は泥だらけになって走り、応援団の女の子達は黄色い声で歓声を上げる。
「ねえ、あのとき貴方は私よりラグビーが大事だったのかしら?」
奈緒子はこの30年ずっと引っかかっていた事をさり気なく聞いてみた。
「馬鹿だなあ。」 夫は笑った。
「結局はこうやってお前のためにラグビーを捨てたじゃないか。」
「そうね。」
奈緒子も笑った。
「NO SIDE」という言葉が彼女の頭に浮かんだ。
試合終了後、みんなが去った後も奈緒子と大輝はグラウンドをいつまでも見つめていた。
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ユーミンにはフェンダーローズの音が良く似合う。
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