流体力学で、流れを「層流」と「乱流」に分類する。

「層流」とは流体のどの部分の運動も流体全体の流れと並行になっている流れを言い「乱流」とは全体の流れと並行でない動きが混じっているものを言う。

例えば水道の蛇口を少し開けた時に真っ直ぐに下へ落ちるのが「層流」であり、大きく開けた時に乱れながら落ちるのが「乱流」である。

自然界に見られる実際の大気や水の流れはほとんど乱流だが、乱流は未だにほとんど解明されていない分野である。


層流と乱流の境界はおおまかにはレイノルズ数によって決まる。
レイノルズ数は流体の質量と加速度の積である「流体の慣性」と「流体の粘性」の比である。
レイノルズ数 R が小さければ層流になり大きければ乱流になる。



層流から乱流に変化する様子を理論化するため、
「テーラー・クエット系」と呼ばれる
下の様な装置が考案された。

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二つの円筒の間に水を入れ、内側
の円筒を様々な速度で回転させる。
円筒の回転が速くなるにつれレイノルズ数は大きくなり、水は層流(左)から乱流(右)へ変化する。

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左はまだ層流だが、流れが何段にも層に分かれている。この層を拡大すると、各層の中で螺旋状の水流が起こっているのが分かる。(下図)右の写真では螺旋運動によって各層が波打ち始めている。

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ソ連の物理学者、レフ・ランダウは回転数を上げレイノルズ数を大きくするに従って次々と新しい波が特有の振動数で表れ、しかも新しい波が表れるレイノルズ数の臨界値が次第に小さくなるので、急速に乱流に近づくのだとした。

これに対し、フランスのリュエルとオランダのターケンは少数の波動が出現した後、微かな乱れで「奇妙なアトラクター」が生じる事で一気に乱流になるモデルを示した。

いずれにせよ乱流のカオス理論による解明はまだ最も単純なモデルで始まったばかりである。