更新が無いのにアクセス数が多いのに驚いてアクセス解析をみたらほとんどナウシカだった。どうやら金曜ロードショーでナウシカを放映した影響らしい。
タレントの太田光氏が「ジブリアニメは善と悪の役割が初めから決まっているから面白くない」という趣旨の発言をした事がある。確かにそういう作品が多いかもしれない。太田氏は創価学会なのでもしかして天台哲学の十界互具を念頭に置いて発言したのかもしれない。
しかしそうでない作品も幾つかある。少なくともアニメージュ版のナウシカは別だ。これは映画版よりずっと複雑で、善と悪がひっくり返る後期ドストエフスキーや遠藤周作の世界に似てくる。ただしその代わりに映画版のエコロジーやスピリチュアルの美しい構図は崩れ、ニヒリズムの深淵を垣間見る事になる。
「ナウシカ幻想」の後半でこの深淵を語ろうとも考えたのだが、やはりピリアさんに任せよう。(笑) 僕はあくまでもイメージ連想の世界で遊ぶ事にする。
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さて、昆虫の王として腐海に君臨するのが王蟲だ。

王蟲は古生代に大繁殖した三葉虫に似ている。
現代にも似た者がいる。ダンゴムシ、フナムシ、そして極めつけはダイオウグソクムシだ。

しかし自然というものは奥深く、動物と植物が同じ体節構造を持つように、植物が動物に擬態する事もある。竹の子王蟲?(笑)
いや、半分冗談だが半分は本気だ。動物の様な植物は結構多い。この食虫植物の恐ろしい歯はいったい何だ? 右の深海魚そっくりではないか!
逆に植物に似た動物もいる。北アメリカの海に棲息するウミウシの仲間、エリシア・クロロティカ(下写真)は単に外見が木の葉に似ているだけでなく光合成もする。食べた藻類から葉緑体を盗むのだ。
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ナウシカという名はギリシア神話に出てくる。ギリシャがトロイとの戦争に勝利した後、オデュッセイの一行が嵐で漂流し流れ着いた国の王女がナウシカだ。
しかしナウシカの物語はインドやイランからロシア辺りの文化も感じさせる。インドラの別名がカーウシカ、トルメキアの王女クシャナ殿下はガンダーラ美術の舞台となったクシャーナ朝から採ったと思われる。このクシャーナ朝の大王がカニシカである。ナウシカとカーウシカとカニシカ、いかにも同系っぽい。ちなみに僕の妻はカニしか食べないがそれはどうでもいいか。
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トルメキア装甲兵の兜は頭頂が尖った独特の形をしている。

またナウシカの幼少の頃の思い出に出てくる馬に乗った両親もこんな感じの兜を被っていた。
これはどこの民族のデザインだろうと調べていく内にこの素晴らしい資料に出会った。http
この資料と出会っただけで今回いろいろと調べた甲斐が有ったというものだ。
この形は「スパンゲンヘルム」と言ってスキタイが源流で、ロシア経由でヨーロッパに伝わり6〜10世期頃にはヨーロッパ全域で使われたらしい。
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映画版には出てこない大変重要な勢力が土鬼(ドルク)だ。幽体離脱する神聖皇帝ミラルパが実質支配する魔術帝国である。土鬼は巨神兵を復活させ、トルメキアには蟲と腐海の瘴気を武器にして攻撃する。
腐海を火で焼き払うような近代科学の信奉者トルメキアと腐海の魔術的性質を利用しようとする土鬼は第二次世界大戦のアメリカとナチスドイツの対決を連想させる。
そうすると風の谷とトルメキアと土鬼の三つ巴は興味深い三角形となる。

風の谷と土鬼は神秘主義という点で共通しトルメキアの科学万能主義と対立する。トルメキアと土鬼は弱肉強食という点で共通し風の谷と対立する。風の谷とトルメキアは「腐海と人間界の分離」を維持する点で共通し腐海を溢れさせる土鬼と対立する。
この三角形はひょっとして何か深い意味がありそうな気がするが今は何も思い浮かばない。
何だか中途半端な記事になった。さあ、これから野菜天もりを食べながら再び生化学の勉強に励むとしよう。






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