これは中島みゆきの中でも最も暗い曲の一つだ。これは実話に基づいているそうである。
彼女が実際に知り合った娼婦の名はヘレン、中島みゆきと交流があったそうだが、ある日ゴミ捨て場で全裸死体となって発見された。
周りから白い目で見られ「死んで行って良かった奴」と語られる外国人娼婦たち。彼女を金で買いながら表では彼女を悪く言う偽善的な男達。この詩には悲しみと共に怒りがこもっている。
しかし「今夜 雨は冷たい」辺りから雰囲気がジャパユキさんの心象とはズレてくる。
「灯りの暖かにともったにぎやかな窓を一つずつ覗いてる」
エレーンの幽霊? それとも殺される以前の話に戻ったのか?
いや、そうじゃない。これは中島みゆき自身だ。この歌はジャパユキさんの心象にかこつけて実は中島みゆき自身の心象風景を歌っているのだ。そう考えた時に改めてこの曲の凄さが分かる。 これは太宰治の「生まれてすみません」に近い絶望の歌である。
「他人の幸せを見ると心が抉られるように痛む」中島みゆきの歌に何度か出て来るモチーフだ。もちろんそんな感性を否定する健康な心も残っており、二つの心が激しい闘いを演じている。するとボードレールの「悪の華」にも似てくる。本当に苦しんでいるのは自分の魂が地獄に近づいて行くのを感じているからだ。
コメント