滔々と流れる大河。かなりの速さと深さだ。水面は細かい波でキラキラと輝いている。
生命の大河の中で個々の人間の喜びや悲しみは一瞬の煌めきに過ぎない。大河はそれらを含みながら、超越した高貴さを保っている。

バッハのフルート・ソナタの中でもその深みのある気高さという点でこのBWV1030は格別である。

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フルートは木管楽器に分類されるが、それはバロック時代のフルートが本当に木管でできていたからだそうだ。今のリコーダーと横型の木管フルート「フラウト・トラヴェルソ」を合わせて「フルート」と呼んでいたのである。 https

もちろん木管の方が柔らかい音が出るのだが、ややもすれば気の抜けた演奏になりやすい。

このベルギーのフルート奏者バルトルト・クイケンはバロック・フルートの第一人者だ。彼は木管のフルートで現代の金管フルートの様なメリハリの効いた力強い音を聴かせてくれる。