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女は深夜の密林を静かに歩いていた。無数の種類の葉が生い茂り絡み合うジャングルの中を歩き続けると、けもの道が急に広くなる所がある。ここが彼女のお気に入りの場所だった。

そこだけが隙間の空いた空間から満月が彼女の裸体を照らす。が、漆黒の肌は森の闇となかなか見分けがつかない。さらに逆光ともなればそれが人間である事も分からないくらいだ。

女は笛を吹き始めた。妖艶な、それでいて何処か涼しげなメロディー、そのメロディーは何となく日本の祭りの囃子の笛にも似ている。しかしリズムは紛れもないアフリカのものだ。すぐに数匹の蛇が顔を出した。ユラユラとくねりながら女に近づき、一匹は女の首に絡みついた。女は笛を吹き続ける。逆光の黒い塊の中で二つの目だけが怪しげに光る。

蛇以外にも何やら得体の知れない「もののけ」が湧くように這い出てきた。女はもののけ達を笛の音で操るもののけ姫だったのだ。植物までが葉を揺らし踊り始めた。もののけ達のsummertimeは満月の中、夜明けまで続く。