最近はあまり聴かなくなったユーミンだが、僕がツイッターで追っている高田延彦氏や石破茂氏もユーミンファンだと知って久しぶりに書く気になった。

ユーミンの本当の凄みは歌詞の方にある。名曲にはだいたい心にグサリと突き刺さる言葉があるものだが、ユーミンの歌にはそれが一つや二つではない、至る所にそのような言葉が散りばめられている。

こんな事が偶然で起こるはずがない。明らかにユーミンは意図的、戦略的にそういう言葉を選んでいるのだ。それは極端に言えばこういう事だ。(「人魚姫の夢」でも書いたように)ユーミンの歌は二重構造になっているのである。表の意味は全ての人に開かれている。しかし裏の意味は或る特殊な体験をユーミンと共有する人間にしか分からない暗号で書かれているのだ。

ただしユーミンの言葉は中島みゆきの様にナイフで抉るようなものではない。むしろ心の傷を癒やす性質のものだ。彼女が学生運動が退潮して行く70年代の学生に受け入れられたのはこんな所にあるのだろう。



しかし今日はその思想的ユーミンを離れて音響効果の方に注目しよう。

 

「雨の街を」はデビューアルバムでも「ベルベット・イースター」と並ぶ名曲中の名曲だ。
ピアノの伴奏のテンションノートや修飾音が雨音、そして雨が地面でピシャピシャと跳ねる様子を表現している。ベルベット・イースターのピアノは窓にポツポツと当たる雨にも聴こえる。

 

中島みゆきはユーミンを「絵画師」と表現した。ユーミンの曲には視覚的効果が実に巧みに取り入れられている。「ルージュの伝言」の出だしのわりと古風な8ビートのドラムは良く聴けば近づいて来る列車の音だ。

 


もう一つ例を挙げよう。「きっと言える」は彼と二人で船に乗っているシチュエーションだが、波のチャプチャプいう音やデッキの板がギシギシと軋む音までが音楽化されている。




ユーミンを聴く時はこんな絵画的な音響効果を探してみるのも面白いものだ。