エスター・ハーディングの続きの前にまたこれまでのアイデアの整理を・・・・・
前に紹介した様に、ジョージ・アダムズは射影幾何学とシュタイナーを結びつけ、僕はそれをさらにゲーテに結びつけた。http http
他方でワディントン地形がヘッケルの反復説とシェルドレイクの形態形成場の表現であり、それがデカルトの解析幾何学に匹敵する新たな学問の領域を切り開く無限の可能性も述べてきた。http
三つ目に「ソシュール派」構造主義への違和感も書いてきた。http
(今回ソシュール派と限定したのはそうでない構造主義もあるからである。ドゥルーズ、ピアジェ、チョムスキー etc.)
「射影幾何学」「ワディントン地形」「ソシュール派への疑問」今回はこの三つを結合するアイデアについて書こうと思う。大したアイデアでもないのだが、今までモヤモヤしていたものがノヴァーリスの次の表現を何度も味わううちに霧が晴れるようにハッキリとした映像が見えてきた、という報告である。
「自然における大いなる同時性ほど注目に値するものはない。自然はいたるところに全き姿を現している。一本の蝋燭の炎のなかにもありとあらゆる自然の力が働いているが、そのように、自然は、いたるところで不断に自己を示現しては変容し、葉も、花も、実も同時につけさせ、時間のただなかにあって、現在であると同時に過去でもあり、未来でもあるのだ。」
・・・・サイスの弟子たち(岩波文庫版 p.92)
これは自然のメタモルフォーゼが同時性としても表現される、という含蓄ある指摘だ。ゲーテが指摘した通り、植物器官の全てが葉のメタモルフォーゼであり、ガクも花弁も雄蕊も雌蕊も葉の変容、果実は雌蕊の変容である。この変容は「葉と花と実が共存する」という形で同時性を持つ。つまり時間的変容が空間的配置に射影される。
葉からガク、花弁、果実への変容は個体発生だが、「時間的変容が空間的配置に射影される」事は系統発生にも共通する現象であり、例えば単細胞生物から藻類へ、魚類から両生類、爬虫類へ、といった歴史が現代でも同時に共存し、三木成夫の言うように生物個体の中にもその歴史性が「おもかげ」として残されている。これを抽象的に図示すれば(前にも書いたが)こんな感じだ。

この「時間的変容の空間的写像」という驚くべき射影空間は岩石のような無機物でも「地層」という形で一部に見る事ができる。僕はこの射影空間の普遍性にまだ誰も気づいていないグノーシスが潜んでいると確信する。どんな古い惑星でも必ず地中深くにはマグマが残っていると僕は敢えて予言しよう。
前に上の図を書いた時にはこれがソシュールの言語学に対抗する点に気づかなかったのである。「通時的変化より共時的構造が先立つ」人工的記号の世界と「通時的変化が共時的構造に射影される」生きた自然の対照性。これで僕のソシュール派構造主義への立ち位置が確定した。(もうこの点について二度と迷う事は無いだろう。)
コメント
コメント一覧 (3)
ゲーテは生物のメタモルフォーゼのトポロジー的同型性に注目しているが、この「トポロジー的同型性」のゆえにメタモルフォーゼが空間的配置へと写像され得るのである。
まだまだこの問題は飛躍を孕んでいる。
ミトラ
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差し当たりこう答えておこうか。テニスボールをつぶして半分裏返しにするのはトポロジー 的に同型な変化である。また外骨格はウロコとして残っており本当に内外が反転するわけではない。
しかしこの大進化とトポロジー的同型性の関係はもっと難しい問題を孕んでおり、近い内に再度考察する。
ミトラ
が
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それによりワディントン地形と射影幾何学を統合する空間を探す事だ。
これはまた遠大な目標だな。笑
ミトラ
が
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