最近はDNAの塩基配列だけでなくリボソームRNAの塩基配列や蛋白質のアミノ酸配列も比較する事で進化上の位置付けを確定する分子系統学がこれまでの系統樹を大きく書き換えている。

以前、進化発生生物学(evo-devo)の素晴らしさと「ヘッケルを低く評価する唯物論的限界」について書いたが、それに匹敵する輝かしい成果を上げている新分野である。

分子系統学によると、昆虫はムカデなどの多足類よりもエビ、カニなどの甲殻類と近縁である事がハッキリしたそうである。http

この資料の系統樹を単純化し分かりやすくしてみた。



   節足動物の系統樹
 
  
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無脊椎動物全体の系統樹も書き換えられてきている。軟体動物と環形動物、扁形動物は三種ともトロコフォア幼生を経るところから冠輪動物と呼ばれ、節足動物と線形動物はどちらも脱皮する生活から脱皮動物と呼ばれるようになった。これも細かい部分は省略して示す。ミミズのような環形動物は体節を持つところから節足動物の原始形と見られていたのが、節足動物より軟体動物に近い事が分かったわけである。


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参考資料 http http





さらに脊椎動物を含む後口動物の系統樹でも書き換えがあったようだ。
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半索動物と棘皮動物が繊毛で泳ぐデプリュールラ幼生、脊索動物は尾で泳ぐオタマジャクシ幼生という点で共通し、「尾で泳ぐ事」が脊索の形成に大きく関わっている事が示唆される。
また(まだ異論もあるが)脊椎動物はナメクジウオよりホヤの仲間に近い事も分かった。脊索動物周辺の略式系統樹も示しておく。

  
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