サラ・チャンのツィゴイネルワイゼンも素晴らしいが、このアンネ・ゾフィー・ムターの演奏を聴くとやはりヨーロッパの情念はヨーロッパの人にしか分からない部分があると感じてしまう。

激情と果てしない繊細さの奇跡的な両立。正気と狂気の接するギリギリの細い線上を綱渡りする緊張感。この曲が病んだ神経のヒステリーを含んだ曲だという事をこのムターの演奏で初めて知った。

ムターの数々の名演の中でもこれが最高ではないだろうか?