対位法と「コール&レスポンス」の差は紙一重だ。複数のメロディーが重なったり離れて対話したりする共通の場がある。離れる部分が大きければ「コール&レスポンス」、重なる部分が大きければ「対位法」と呼ばれる。
バロック音楽の中で対位法の伝統を守ろうとするフランドル地方と和声音楽へ移ろうとするイタリアがせめぎ合いながら互いに影響を及ぼし合って壮大なバロック・フーガが生まれた事は以前書いた。 https
バッハはある時一人の生徒に「貴方の音楽は難し過ぎるしもう古い」と言われて逆上し剣を抜いたそうだ。彼の音楽の独特の緊張感は単に旋律同士の絡み合いだけでなく、ポリフォニーとホモフォニーがせめぎ合い、ジンテーゼを形成する文化熟成の弁証法まで表現しているようだ。
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